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「その日は、すッげー、いい天気でサ。もう上天気?ッつーの、マアいいや、兎に角、真っ青な空で!…ただ、その真ん中にね〜、ぽつねん、拳骨みたいなかたちした雲が、ひとつだけ、ポカーン、ッて浮かんでたんだよ。他にはどッこにも雲はないのに。あれ、すごいな!ッて指さしたら、それを、さ。側にいた三橋が、ふーっ!ッて。真剣にふーッて!してんの、それ目掛けて!三橋ッてば。」 息で、雲、吹き飛ばそうとしてたね、ありゃあ。 水谷は一気に喋り追えると、ふう、と息を吐いて、手にしていたブリックパックの100%オレンジを、じるるる、と音を立てて吸い上げた。 昼休みの一年七組、窓際の席で喋るともなしに出た話に、阿部は、面倒くさそうなポーズを取る。 顔も上げずに、ただ、ゆびさきが、ひくり、と反応したのを水谷は視界の端でとらえる。コイツは三橋のことほんとうにだいすきだよな。 「アイツの奇行は今に始まったばっかじゃねェだろ。」 阿部は、不機嫌そうにシャーペンをノックし、ノックし、ノックし、ノックし続け、ついに、ぽとり、(未だ々々長い、)芯の一本を落とした。水谷は、うーん、と首を傾げ、 「なんつうかさ、それを見てたら俺は、一寸、しんみりした。」 「…は?」 漸く顔を上げた阿部に、水谷は含めるみたく。 「三橋は、サミシイ、に敏感で、それで、」 ヤサシイ、ね。 「…そぉかぁ?」 ヘンな奴には変わンないじゃん。 嘯いて、再び俯いた、阿部の耳たぶは、朱を捌いたみたくなッて、水谷は一瞬鼻白む。阿部の鼓動が何ともなしに、自分にまで伝わってきそうで、つい、水谷は笑ってしまった。にへらッとした、(阿部言いて曰く、駱駝のそれみたいな)だらしのない笑みを浮かべ、ハイハーイ!と、挙手。 「何で阿部君が照れるンですかー!阿部君を褒めた覚えはありません!」 「うっせ、バーカ、クソレフト。」 「…なッ、ヒドッ!阿部のうんこ!うんこ!ばーか!うんこ!」 「はああ?うんこはお前だっつーの!」 ぎゃゃあぎゃあ、喚きながら、机上で罵り逢い、机下では、蹴り合いの、始まり。今週の週番、花井が黒板をきれいに消し終わり、こちらに振り返るまで、頭の悪い攻防は、続く。 窓外は、晴れ。雲ひとつない、晴れ。 |
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絵板より。(4/17) テーマ ◎彼氏を褒められて照れる阿部。 ◎水谷駱駝似説を唱えてみる(嘘です!嘘ですう!) …いちいち下品な科白の、ご免なさい。 |