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それは、あたらしいチョコレートのひとくちめのような、どるちぇ・びーた! 「ご、ごめんねッ、でも俺、阿部くんの言うこと、よくわからなくッて。…阿部くんの言う、好きッてなあに?それは、気持ちのいいこと?それとも甘くて美味しい?いい匂いのするものなの?」 それともきらきらひかるもの? 小頸を傾いでみせる三橋に阿部は、腕を組み、そうだな、と言う。 「手を繋いだり、…キスをしたり、それが、きらきらしてるか美味しいかいい匂いのするものかは、判ンねーけど。」 おれだッて、好きになったのはお前が初めてだから、言い淀み、阿部は三橋に頬を寄せる。赤い頬、耳朶。照れ臭そうに歪む眉根。ごくんと唾を飲んだ。(あ、阿部くんの顔、今ちょこっと、可愛いかった。) 「それでも、こうして、」 額にくちびるを押し当て、手元を探り、三橋のゆびをつかまえて阿部は言う。 「触ってあったかかったり、こそばくて、きもちよかったり、まあ、そうだな、」 今の所、こんなもんかな、俺の知っている「好き」は。 呟いて、にしゃり、と笑む阿部の顔は、輪郭からはみ出そうなくっきりとした笑顔で、三橋は、どきどきしてしまう。胸の中で、沢山の拍手が起こるみたいな。(あれ、オレ今、祝福されているのかしらん?) 「あ、お前、いま少し、微妙ッてカオしただろ?」 「エッ、う、嘘、してな、…いよ!」 「言葉の大袈裟さの割りに、地味だなーとか考えたンだろ!」 言うやいなや、阿部は、三橋の頬を両手で掴ンだと思えば、上下にぶんぶんとシェイクする。驚いて抵抗する術を忘れた三橋は揺すられるまま、淡い髪の毛をさぱさぱと散らす。 「ひゃっ、あべ、く、や、やめっ」 「ははは、…三橋、へんなかお。」 ぱ、と手を放し、目をぐるぐるさせている三橋に、顔を詰めた。焦点のぼやけるような位置。瞬きの気配が三橋の頬にも分かる。 「美味しいものか、いい匂いのするものかは、わからねえけど。」 俺には充分、きらきらしてると思えたから、だから、欲しかッたンだよ、と。 阿部は、言った。 くちびるに熱が触れる。阿部のくちびるだと気付くのに、三橋は、瞬きふたつ分の時間を要した。押し当てられた弾力が、言葉をじんわりと染み通す。阿部のそれは、ほんの少し、熱い。焦点の合わない阿部の表情を探ろうと三橋はじつ、と目を凝らす。 何だか阿部は目を瞑っていても、気配がとろり、としている。美味しいお菓子でも口に含んでいるようだった。 (ならば、さて、三橋は?) これは、甘くて美味しい?うっとりいい匂い?きらきらひかっているものかしら?それはそれも、わからない。ただ、三橋の胸奧で拍手が起こッている。どきどきどきどき、これは、スタンディングオベーション! だから三橋は。 もしかすれば、阿部のくちびるから伝う熱は、自分が、一等欲しかったものなのかも知れないと、ぼんやり思うのだった。 それは「すき」の最初のひとくち目。 |
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通販のおまけペーパーから(8/21) おもはゆいというか、はずかしい。おしょしい。 |